特殊清掃とは(作業内容・費用・依頼の流れと業者の選び方)
結論:特殊清掃は、国土交通省のガイドラインで「孤独死などが発生した住居において、原状回復のために消臭・消毒や清掃を行うサービス」と説明されています(総務省の調査報告の説明を引用したもの)。依頼する前にまず、賃貸住宅なら管理会社・大家に連絡し、部屋の物を処分する前に残す物(遺言書・貴重品・書類・写真など)を家族で決めます。費用には公定の料金がなく、部屋の状態・作業の範囲・家財の量で変わるため、現地を見たうえでの書面の見積もりで確認します。家財を廃棄物として運び出す業者には、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可(または委託)が必要です。
お住まいの市区町村での出し方・相談先は、地域から探すで確かめられます。
大切な方を亡くされた直後に、清掃や費用のことまで考えるのは大きな負担です。急いで一社に決めず、家族や管理会社と相談しながら進めてください。遺品の仕分けや相続の手続きに関わる物の扱いは遺品整理業者の選び方で詳しく説明しています。
特殊清掃とは(作業内容・通常清掃との違い)
総務省行政評価局の調査報告(2020年3月)は、遺品整理サービスの事業者が提供するオプションサービスの例として、特殊清掃を「自殺や孤独死などが発生した住居において、原状回復のために消臭・消毒や清掃を行うサービス」と紹介しています。国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(2021年10月)も、この報告書を出典として、特殊清掃を「孤独死などが発生した住居において、原状回復のために消臭・消毒や清掃を行うサービス」と注記し、人が亡くなって長期間にわたって人知れず放置されたことなどに伴い行われる「いわゆる特殊清掃」に触れています。
同じ報告では、遺品整理・特殊清掃・ハウスクリーニングについて次のように説明しています。
| サービス | 総務省の調査報告での説明(要旨) | このサイトの関連ページ |
|---|---|---|
| 特殊清掃 | 自殺や孤独死などが発生した住居において、原状回復のために消臭・消毒や清掃を行うサービス。遺品整理の事業者がオプションとして提供している例がある | このページ |
| 遺品整理 | 遺品を依頼者の手元に残すものと不用なものに分ける「区分」と、故人宅から運び出してしかるべきところに運ぶ「搬出」が中心のサービス。調査に協力した事業者の説明として、遺品等の搬出後の簡易な清掃までは、通常、基本サービスに含まれているという例が紹介されている | 遺品整理業者の選び方 |
| ハウスクリーニング | 素人ではなかなか手が届かない場所などもきめ細かく丁寧に掃除を行うサービス(オプションの例) | ― |
出典:総務省行政評価局「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」(令和2年3月、PDF)(新しいタブで開きます)/国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(令和3年10月、PDF)(新しいタブで開きます)(いずれも2026年10月25日確認)
特殊清掃の作業では、消臭・消毒・清掃のほかに、部屋に残った家財の運び出しや、床・壁などの原状回復の工事が必要になることがあります(ガイドラインは「特殊清掃や大規模リフォーム等」と並べて書いています)。どこまでを一つの業者に頼むのか、どこからが別の工事になるのかは、見積もりの段階で確かめます。
特殊清掃の費用の考え方(間取り・状況による違い)
公的機関や業界団体が公表した特殊清掃の費用の統計は確認できなかったため、このページでは間取りや状況ごとの金額の目安を載せていません。総務省の調査報告は、遺品整理サービスについて、料金に公定や公認の仕組みは存在しないとし、依頼しようとする人の立場からは料金相場の見当をつけるのは容易ではないのではないかと述べています。また、遺品整理の中心のサービスのほかに、家電4品目のリサイクル費用や清掃などのオプションサービスの費用を計上する事業者も多いとしています。
費用は主に次の要素で変わります。見積書では、それぞれが含まれているかを確認します。
| 要素 | 見積もりで確かめること |
|---|---|
| 部屋の状態と広さ | 汚れやにおいが広がっている範囲、作業する部屋の数 |
| 作業の範囲 | 消臭・消毒・清掃のどこまでを含むか。床や壁の張り替えなどの工事を含むか、別の業者になるか |
| 家財の量 | 運び出す家財の量と、残す物の仕分けを業者がするか(家財の運び出しの料金の見方は料金相場と内訳) |
| 家電4品目 | エアコン・テレビ・冷蔵庫/冷凍庫・洗濯機/衣類乾燥機のリサイクル料金と収集運搬料金(家電4品目の処分方法) |
| 追加料金・キャンセル料 | 作業中に追加料金がかかる条件と、解約したときの料金 |
出典:総務省行政評価局「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」(令和2年3月、PDF)(新しいタブで開きます)(2026年10月25日確認)
国民生活センターは、遺品整理の事例として、電話で依頼して当初20万円ぐらいと聞いていたのに作業後に30万円と言われ、見積書をもらっていなかったという相談を紹介し、複数の事業者から見積もりを取って比べること、契約時に作業日・作業内容・料金・支払方法・解約料を確認することを呼びかけています(国民生活センター 見守り新鮮情報 第525号(新しいタブで開きます)、2026年10月25日確認)。
費用は誰が払う?(相続人・大家・保険)
特殊清掃や原状回復の費用を誰が負担するかは、持ち家か賃貸か、賃貸借契約の内容、相続の状況、保証人や保険の契約などによって変わるため、このページでは断定しません。迷うときは、費用を払う前に次の相談先で確かめてください。
| 場面 | 確かめること | 主な相談先 |
|---|---|---|
| 相続人 | 相続財産を処分すると、相続放棄との関係で問題になる場合があります。相続放棄を考えているときは、家財を処分したり費用を払ったりする前に相談します(相続財産の処分と相続放棄の期限は遺品整理で捨ててはいけないもので説明しています) | 家庭裁判所の手続案内、弁護士・司法書士 |
| 賃貸住宅 | 賃貸借契約の解除や部屋に残った物の扱いを、契約書と管理会社に確かめます。国土交通省と法務省は、単身の高齢者が亡くなったときに契約関係と残置物を円滑に処理できるよう、賃借人と受任者の間で結ぶ「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定しています。こうした取り決めがあるかも確認します | 管理会社・大家、弁護士 |
| 大家・管理会社が処理するとき | 札幌市は、賃貸住宅で入居者が退去した後に残されたごみを家主や管理会社が処理する場合は「事業ごみ」になるとしています。ごみの区分によって頼める業者が変わるため、その市区町村の案内を確かめます | 市区町村の清掃(ごみ)担当 |
| 保険 | 保険で費用が支払われるかは、加入している保険の契約内容によります | 保険会社・代理店 |
出典:国土交通省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(新しいタブで開きます)/札幌市「引越しや遺品の整理などで一時的に多量に出るごみの処理について」(新しいタブで開きます)(2018年10月5日更新)(いずれも2026年10月25日確認)
法的なトラブルで相談先が分からないときは、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374。平日9時〜21時、土曜9時〜17時。祝日・年末年始を除く)で、内容に応じた法制度や相談機関を案内してもらえます。利用料は無料で、通話料がかかります。業者との契約や請求のトラブルは、消費者ホットライン「188」で、身近な市区町村や都道府県の消費生活センター等を案内してもらえます。
出典:法テラス「法テラス・サポートダイヤル」(新しいタブで開きます)/消費者庁「消費者ホットライン」(新しいタブで開きます)(いずれも2026年10月25日確認)
大家・相続人が知っておきたい「告知」のルール
国土交通省のガイドラインは、宅地建物取引業者が取引の相手方に人の死を告げるかどうかの判断の基準を示しています。自然死や日常生活の中での不慮の死は原則として告げなくてもよいとする一方、長期間にわたって人知れず放置されたことなどに伴い特殊清掃や大規模リフォーム等が行われた場合は、買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるとしています。賃貸借取引では、特殊清掃等が行われることとなった死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、原則として借主に告げなくてもよい(事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案は除く)としています。告げる場合は、事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合は発覚時期)、場所、死因(不明の場合はその旨)、特殊清掃等が行われた場合はその旨を告げるものとしています。
出典:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」について(新しいタブで開きます)/ガイドライン本文(PDF)(新しいタブで開きます)(いずれも2026年10月25日確認)
特殊清掃の依頼が必要なケースと流れ
特殊清掃が必要かどうかは、部屋の状態によって変わります。家族が自分で片付けを始める前に、賃貸住宅なら管理会社・大家と、持ち家なら家族の間で状況を共有し、業者に現地を見てもらうと、必要な作業の範囲を判断しやすくなります。依頼の流れは次のとおりです。
- 関係者に連絡する:賃貸住宅なら管理会社・大家に連絡し、明け渡しの時期や、作業の前に確認したいことを聞きます。
- 残す物を家族で決める:遺言書・通帳・印鑑・契約書類・写真など、残す物と処分する物を作業の前に明確に分けます。遺言書や相続に関わる物の扱いは遺品整理で捨ててはいけないものをご覧ください。
- 複数の業者に現地を見てもらう:作業の範囲(消臭・消毒・清掃・家財の搬出・工事)ごとに、書面で見積もりを出してもらい比べます。
- 許可と契約の内容を確認する:家財を運ぶ業者の許可(または市区町村の委託)、作業日・料金・支払方法・解約料、追加料金がかかる条件を確かめます。
- 作業と確認:作業にはできるだけ立ち会うか、立ち会えない場合は作業の前後の状態をどう確認するかを事前に決めておきます。
- 遺品の整理と明け渡し:家財の搬出・遺品の整理を続けて行う場合は、遺品整理業者の選び方の流れも参考にしてください。
出典:国民生活センター 見守り新鮮情報 第525号(2025年10月30日)(新しいタブで開きます)(2026年10月25日確認)
特殊清掃業者の選び方・比較(消臭の保証・資格・許可)
掲載業者について
当サイトは、家庭の不用品を回収できる許可(または市区町村の委託)を確認できた業者だけを掲載します。2026年10月31日現在、掲載基準を満たす業者は0社のため、このページには業者の比較表を置いていません。掲載の条件は評価基準と掲載基準をご覧ください。業者に頼むときは、業者の選び方(依頼前のチェックポイント)の順に確かめてください。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 家財を運ぶ許可 | 住まいの不用品を廃棄物として収集・運搬する事業者は、市町村の委託業者か、一般廃棄物処理業の許可を受けている必要がある(国民生活センター)。許可の有無は市区町村の窓口で確認する |
| ほかの許可・資格 | 環境省は、家庭の残置物について「産業廃棄物処理業の許可」「解体工事業の許可」「古物商の許可」では一般廃棄物の処理はできないとしている。業者が民間の資格や団体の認定を示していても、それは廃棄物を運ぶ許可とは別に確認する |
| 買取 | 遺品を買い取る事業者には古物商の許可が必要。「古物商許可証」や「行商従業者証」を確認する |
| 消臭の保証 | 消臭の効果について保証をうたう場合は、保証の期間・範囲・再作業の条件を書面で確認する |
| 見積書 | 作業の範囲(消臭・消毒・清掃・搬出・工事)ごとの金額、追加料金がかかる条件、キャンセル料が書かれているか |
出典:国民生活センター 見守り新鮮情報 第525号(2025年10月30日)(新しいタブで開きます)/環境省「家庭の残置物の処理はどうしたらいいの?」(平成30年6月作成、PDF)(新しいタブで開きます)(いずれも2026年10月25日確認)
- 家庭の不用品を回収できる許可(市区町村の一般廃棄物収集運搬業許可)か、市区町村の委託を受けているか。許可の自治体名と番号を聞く
- 見積もりは作業前に書面(メール等)でもらい、追加料金が発生する条件を確認する
- 「無料回収」「積み放題」は、無料・定額になる条件と対象外の品物を確認する
- 家電4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫/冷凍庫・洗濯機/衣類乾燥機)のリサイクル料金と運搬料金の扱いを確認する
- 買取がある場合は、買取額と処分費を分けた明細をもらう
- キャンセル料・支払方法・作業日時を確認する
トラブルの相談先:消費者ホットライン「188」(最寄りの消費生活センター等につながります)
許可の種類と確かめ方は不用品回収に必要な許可と確認方法、高額請求の手口と対処は悪徳な不用品回収業者の見分け方にまとめています。家財を運ぶときの許可の扱いは市区町村ごとに違うため、地域のページもご覧ください。
よくある質問
特殊清掃と遺品整理はどう違いますか?
総務省の調査報告では、特殊清掃は自殺や孤独死などが発生した住居で原状回復のために消臭・消毒や清掃を行うサービス、遺品整理は遺品を残すものと不用なものに分けて運び出すことが中心のサービスとして説明されています。遺品整理の事業者が特殊清掃をオプションとして提供している例もあります。遺品の仕分けと許可の確認は遺品整理業者の選び方をご覧ください。
賃貸の部屋の特殊清掃の費用は、誰が払いますか?
賃貸借契約の内容、相続の状況、保証人や保険の契約によって変わるため、一律には決まりません。相続放棄を考えている場合は、家財を処分する前に家庭裁判所の手続案内や弁護士・司法書士に相談してください。相談先が分からないときは、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)で法制度や相談機関を案内してもらえます。
特殊清掃をした部屋を次に貸すときは、そのことを告げる必要がありますか?
国土交通省のガイドラインは、宅地建物取引業者が媒介する賃貸借取引について、特殊清掃等が行われることとなった死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、原則として借主に告げなくてもよい(事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案は除く)としています。個別の判断は、管理を任せている宅地建物取引業者や弁護士に相談してください。
次にすること(費用の負担と業者を確かめる)
特殊清掃は、費用を誰が払うかを確かめたうえで、業者の許可と書面の見積もりを確認して依頼します。
- 費用は誰が払うか:相続人・大家・保険
- 業者の選び方:特殊清掃業者の選び方
- 契約や請求で困ったとき:消費者ホットライン「188」